先週3月5日に、ずっと楽しみにしていた
『ジョルジョ・モランディ 終わりなき変奏』展へ行ってきました。
(こちらの記事でも、行く気満々でご紹介してます ⇒ ★)下は、展覧会のチラシ
モランディの展覧会は、2011年に豊橋美術館で企画されていたものの、
震災の影響でこの時は開催が叶いませんでした。
日本での本格的な個展は17年ぶりということで、
日本のモランディ・ファンにとっては待望の大規模展覧会となります。
本展は、日伊国交150周年記念事業の一環でもあるそうですね。
(そういえば、1月からダ・ヴィンチ展にボッティチェリ展、今月からはカラヴァッジョ展(まだまだ続く)…と
大規模展覧会はイタリアづくしです!)
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ジョルジョ・モランディは、1890年生まれのイタリアの画家・版画家です。
生没年に多少の開きがあるものの、ピカソやデュシャンといった時代の寵児と
同時代に活躍していました。
芸術の中心地がパリであった時代、彼は出身地であるボローニャをほとんど離れることなく、
美術教師として働く傍ら、自身のアトリエで生涯を過ごしました。
彼についての根掘り葉掘りは次回のホロスコープ読みに譲るとして、
展覧会のレポをつづけます!
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モランディと言えば、静物画。
いつも似たような壜や水差し、もはや何の用途かわからない立方体などを、
様々に組み合わせてモチーフにしています。
この一連の作品群を、本展では変奏曲と称しているんですね!すてき(^^)
今回の展示では、一見するとほとんど変わっていない構成の作品を、あえて並べて展示して、
その違いを発見してもらうような試みがあり、モランディという作家の特徴を
改めて感じさせる趣向が面白いな、と感じました。
(兵庫県立美術館にて先行開催された同展のチラシには、ソックリ作品を載せています!)
それほどまでに、延々と似たような静物画が並ぶモランディ作品。
今回は、「私は何がそんなに好きなんだろう?」という視点で、展示を眺めました。
気づいたのは、いつも必ず注目している点が2つあることです。
彼の作品で好きな点の8割ぐらい占めているような気がしたので、
この2点を紹介させていただきます。
① 色彩の多様さと醸し出す空気感
ベースになっているのはグレー~ベージュの生成りを思わせる色彩。
それが微妙なトーン差、明暗の差によって、画面の空気感がガラリとかわります。
同じ温かみのある色調でも、一方は夕方3時から4時くらいの光を感じたり、
別のものは朝の清々しい空気を感じたりするのです。
また、ポイント使いされている色味にも注目です。
さりげなく黄色×青の反対色を使って画面に柔らかくメリハリをつけていたり、
グレーの色調の画面にレンガ色に近いオレンジを忍ばせていたり…。
個人的にかなりグッときたのは、グレージュの画面にブラウン×菫色が
ポイント使いされている作品!
しぶい!かっこいい!!
美術館なので顔には出しませんが、脳内では悶絶してましたよ(^^)
巨匠を捕まえてアレですが、「もー、オシャレさんめ!」と小突きたくなりましたw
② モチーフの質感
壜や壺を主なモチーフとしているモランディですが、この静物達に、
ちょっと驚くような彼なりの一工夫を凝らしています。
解説本を見ると、モチーフにこんもりとホコリがつもっている状態をキープし、
家人には一切手を触れないよう、厳重注意していたのだそう…。
さらに、彼の家を訪ねたことがある人物の話によると、
いわゆるリビングなどはこざっぱりと清潔な空間だったが、
彼のアトリエは別世界であった、と言ったとか言わないとか…(^^;)
これだけ聞くと若干引きますがw、作品の中の静物がもつ柔らかなアウトラインは、
モチーフをふんわりと覆ったホコリと、アトリエ内に差し込む光から生み出されたのかも
しれないと思うと、ぜひその様子を見学したかった!という思いがこみ上げてきます。
その際は、マスク必須ですけどねw
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閉館後に開催されたセミナーで、講師の方の押しメンならぬ
押し作品が風景画で、ちょっとビックリ。
自分が彼の静物画が好きなものだから、風景画にはそこまで注力して
観ていなかったんですw
よくよく解説を聞くと、モランディが風景画の作品群において、
同時代の他の作家から1歩先を行く試みをしていたことが分かり、目から鱗でした。
こりゃ、もう1回観に来ないといけないなー。こんどは風景画を中心に観てみよう…。
あまりにもモランディ作品が好きすぎて、長くなってしまいました…。
実は彼のエッチング作品も大好きで、今回は調子に乗ってかなり長いこと凝視してきましたw
もうちょっと語りたいところだけど、しつこいので自粛…。
「ちょっと気になってきたかも…」という方は、ぜひぜひ観にいかれてください!
東京駅構内にある「東京ステーションギャラリー」にて来月4月10日まで開催中ですよ!
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